世の中には色々なバクテリア剤が売られている
熱帯魚用であれば普通にニトロ系が入ったバクテリア剤なんだが・・・
・嫌気性光合成細菌(PSB)
・バシルス菌
というのや変わったところで
・納豆菌
というのもあるようだ
それぞれの細菌の特性から本当にアクアリウムに必要なのかカガクテキに検証してみよう
バシルス菌と納豆菌はまとめて説明する
というのも納豆菌はバシルス菌の一種(学名Bacillus subtilis natto)で同じような化学変化を担うからだ
まずはPSBから
PSBは嫌気性光合成細菌の紅色硫黄細菌と思われる
PSBで気をつけてほしいのは「光合成」と書かれているからといって酸素を作ったりはしない点だ
これ結構勘違いしている人がいるようだがPSBは酸素を作ることは無い
光合成に関しては「水とお日様と二酸化炭素」と小学校で習ったと思う
光合成を行なう植物は水(H2O)から水素を取り出して使用し余った酸素を放出する
だから酸素を作るわけだ
PSBは水の代わりに特に海水水槽で問題となる硫化水素等を餌として分解利用する細菌だ
そのカガク式は
CO2+2(H2S)→H2O+CH2O+S2
となる
二酸化炭素と硫化水素から水とホルムアルデヒド(CH2O)と硫黄を作り出すわけだ
ここで出来た硫黄は体内で利用されホルムアルデヒドは放出される
これが水に多量に溶けるとホルマリンになる
ようするに水槽内をホルマリンにするのがPSBということになる
まあこれは硫化水素をエネルギー源にした場合の話なので一般的な水槽ならエネルギー源として硫化化合物が使用されるとは思うが・・・
またPSB自体は魚にとっては栄養豊富な餌となるため餌目的で使用するには良いだろう
次にバシルス菌と納豆菌だ
バシルス菌は枯草菌とも呼ばれる
こいつが行なうカガク変化は極めて重要である
まずはカガク式を記述しよう
NO2+2(H2O)→NH4+O2
亜硝酸イオン(NO2)と水からアンモニアと酸素を生成する
だから納豆はアンモニア臭がするわけだな
この反応はどこかで見た記憶がないだろうか?
水作り(一般知識編)で書いたことと被るが水作り(生物濾過)の目的は「アンモニアという猛毒を毒性がアンモニアより低い亜硝酸イオンに変え更に毒性の低い硝酸塩に変える」ために行なう
納豆菌は最初のステップである「アンモニアを亜硝酸イオンに変える」の真逆の反応をしているのだ
よって納豆菌やバシルス菌を水槽に投入するのは本来の生体濾過を逆行させるだけであり「水作り」という目的にとっては百害あって一利もないと言ってよいだろう
もちろんアンモニア吸着剤などでアンモニアを除去する(あるいは爆気で蒸発させる)のであれば効果はあるかも知れない
2012年07月12日
2012年07月05日
ファンはどのくらい水を減らすのか?
熱帯魚飼育で冷却にクーラーではなくファンを使うケースがある
うちも淡水水槽は逆サーモ+ファンという構成で温度を下げている
ファンで水温が下がる理由は単純に気化熱の問題だ
しかしファンを使うと水がやたらと減る
うちの60センチロー水槽だと1日あたり2センチ程度減っている
水量nに対してファンを使った場合どの程度の水が減るのか
これをカガクテキに計算してみる
現在のカロリーは複雑化しており計量法上はJ(ジュール)単位を使用しているのだが今回は単純に「1立方センチの水を1度上げるのに必要なカロリーは1カロリー」という一般的な概念を用いる
総水量がzリットルの水槽で水温がn度のときm度に下げたい場合に必要なカロリーは
z×1000(ml=立方センチ)×(n−m)
という式で表せる
40リットルで29度を28度に冷やしたいなら40×1000×(29−28)=40000カロリー必要だ
一方水の気化熱は1gあたり−540カロリーだ
これを割算すると約74gの水を気化させる必要がある
思ったより少ない?
いやいやとんでもない
これはファンが回って28度までになるために必要なカロリーだ
たとえばファンが回り5分で温度が28度に下がって10分停止して29度になりまたファンが回って・・・というのを繰り返したとしよう
1時間に4回74g=約300グラムの水が蒸発する
10時間なら3リットルだ
60×30の標準水槽の場合1センチあたり1.8リットルなので10時間で1.7センチ水位が下がる
12時間でちょうど2センチ水位が下がる(おお!うちの水槽の減り方と計算合ってる!)
1日4センチ水位が下がると考えれば決して少ない量でないことがわかるだろう
ちなみにファンで水温を下げる場合は湿度に気をつけてほしい
最初に書いたとおりファンで水位が下がる原理は気化熱だ
湿度が100%(飽和水蒸気状態)であればそれ以上水が気化することはなく水温が下がることもない
窓を開けて風を通すなどして湿度を下げておくほど気化効率は上がるのでファンが回転する時間が短く済む・・・かも知れない(外温が高いとそれだけ水温が上がる速度も上がるので)
うちも淡水水槽は逆サーモ+ファンという構成で温度を下げている
ファンで水温が下がる理由は単純に気化熱の問題だ
しかしファンを使うと水がやたらと減る
うちの60センチロー水槽だと1日あたり2センチ程度減っている
水量nに対してファンを使った場合どの程度の水が減るのか
これをカガクテキに計算してみる
現在のカロリーは複雑化しており計量法上はJ(ジュール)単位を使用しているのだが今回は単純に「1立方センチの水を1度上げるのに必要なカロリーは1カロリー」という一般的な概念を用いる
総水量がzリットルの水槽で水温がn度のときm度に下げたい場合に必要なカロリーは
z×1000(ml=立方センチ)×(n−m)
という式で表せる
40リットルで29度を28度に冷やしたいなら40×1000×(29−28)=40000カロリー必要だ
一方水の気化熱は1gあたり−540カロリーだ
これを割算すると約74gの水を気化させる必要がある
思ったより少ない?
いやいやとんでもない
これはファンが回って28度までになるために必要なカロリーだ
たとえばファンが回り5分で温度が28度に下がって10分停止して29度になりまたファンが回って・・・というのを繰り返したとしよう
1時間に4回74g=約300グラムの水が蒸発する
10時間なら3リットルだ
60×30の標準水槽の場合1センチあたり1.8リットルなので10時間で1.7センチ水位が下がる
12時間でちょうど2センチ水位が下がる(おお!うちの水槽の減り方と計算合ってる!)
1日4センチ水位が下がると考えれば決して少ない量でないことがわかるだろう
ちなみにファンで水温を下げる場合は湿度に気をつけてほしい
最初に書いたとおりファンで水位が下がる原理は気化熱だ
湿度が100%(飽和水蒸気状態)であればそれ以上水が気化することはなく水温が下がることもない
窓を開けて風を通すなどして湿度を下げておくほど気化効率は上がるのでファンが回転する時間が短く済む・・・かも知れない(外温が高いとそれだけ水温が上がる速度も上がるので)
タグ:冷却
2012年07月04日
黒髭苔抹殺作戦
淡水でアクアリウムをしていて悩まされたことのない人はいないだろう
そいつの名は黒髭苔
水草や機器に取り付く剛毛
その強靭さたるやミナミヌマエビやオトシンクルスなどの生体兵器など寄せ付けもしない
こいつをどうにかするために数多の手段が講じられた
酢につけて水草ごと駄目にする者あり
黒いカーテンで覆い水草ごと瀕死にする者あり
手で毟り取りアマゾンソードごと駄目にする者あり
しかし人類はついに黒髭苔に打ち勝つ武器を手に入れたのだ!
と大掛かりなことを言ってみたが大した話ではない
ただ実際に黒髭苔を退治するカガクテキ方法(しかも水草などは無事)を編み出したので紹介する
使うのはただ1つ
こいつだ!
まずはアクアセイフを原液のまま器に入れておく
黒髭苔を取りたい水草や機器などを水槽から取り出しアクアセイフを塗る(漬けるでも可)
30秒ほど経ったらカルキ抜きした水でアクアセイフを洗い落とす
何も変わらないぞ?と思うかも知れない
しかし水槽に戻して数分待ってみればわかる
カガク変化で赤くなる姿を!

元々アクアセイフは熱帯魚用品なので毒性の心配は無い
私が実際に使った以下の植物にも影響は出ていない
・アマゾンソード
・ウォーターウィステリア
・ウィローモス(!)
・南米産ウィローモス(!)
アマゾンソードはもちろん写真を見てもらうとわかるがウィローモスにこびりついた黒髭苔だけが赤色に変わりウィローモス自体は無事なのだ
これで黒髭苔のためにウィローモス丸ごと捨てるという悲しい作業も必要なくなる
赤くなった黒髭苔はオトシンやミナミが美味しく頂いてくれるので生体兵器と併用を忘れないように
さてここまでは別に単なる事実の列挙に過ぎない
なんらカガクテキ要素はないことだ
ここからが本番
なぜアクアセイフは黒髭苔に有効なのだろうか?
これをカガクテキに考察してみよう
一番可能性が高いのはアクアセイフが酸性である可能性だろう
なぜなら同じような現象は酢酸に漬けた場合でも発生するからだ
ではそれを調べよう
今回は簡易測定で構わないので同じテトラ社のこいつを使う
まずは水道水を測定してみた

上から「亜硝酸」「硝酸」「カルシウム」「総硬度」「Ph」「塩素」だ
当然ながら硝酸類は含まれておらずカルシウムが若干ある軟水で弱アルカリの塩素入り
どこにでもある水道水だ
この水道水とアクアセイフを1:1で混ぜて測定し直すことでアクアセイフの成分を(大まかに)把握しよう

ナニコレ?
試験紙に無い色に染まってるんだが・・・特にPhは色が抜けてる!
ようするにカルシウムの塊で超硬度を持つ強酸ということか?
若干亜硝酸塩も検出されているようだ
なるほど黒髭苔が即死するわけだ
しかしこんなもん水槽に入れて本当に大丈夫なのか心配になってきた
やはりアクアセイフ漬けにした後はしっかり水で洗い流すのが正解のようだ
そいつの名は黒髭苔
水草や機器に取り付く剛毛
その強靭さたるやミナミヌマエビやオトシンクルスなどの生体兵器など寄せ付けもしない
こいつをどうにかするために数多の手段が講じられた
酢につけて水草ごと駄目にする者あり
黒いカーテンで覆い水草ごと瀕死にする者あり
手で毟り取りアマゾンソードごと駄目にする者あり
しかし人類はついに黒髭苔に打ち勝つ武器を手に入れたのだ!
と大掛かりなことを言ってみたが大した話ではない
ただ実際に黒髭苔を退治するカガクテキ方法(しかも水草などは無事)を編み出したので紹介する
使うのはただ1つ
こいつだ!
まずはアクアセイフを原液のまま器に入れておく
黒髭苔を取りたい水草や機器などを水槽から取り出しアクアセイフを塗る(漬けるでも可)
30秒ほど経ったらカルキ抜きした水でアクアセイフを洗い落とす
何も変わらないぞ?と思うかも知れない
しかし水槽に戻して数分待ってみればわかる
カガク変化で赤くなる姿を!
元々アクアセイフは熱帯魚用品なので毒性の心配は無い
私が実際に使った以下の植物にも影響は出ていない
・アマゾンソード
・ウォーターウィステリア
・ウィローモス(!)
・南米産ウィローモス(!)
アマゾンソードはもちろん写真を見てもらうとわかるがウィローモスにこびりついた黒髭苔だけが赤色に変わりウィローモス自体は無事なのだ
これで黒髭苔のためにウィローモス丸ごと捨てるという悲しい作業も必要なくなる
赤くなった黒髭苔はオトシンやミナミが美味しく頂いてくれるので生体兵器と併用を忘れないように
さてここまでは別に単なる事実の列挙に過ぎない
なんらカガクテキ要素はないことだ
ここからが本番
なぜアクアセイフは黒髭苔に有効なのだろうか?
これをカガクテキに考察してみよう
一番可能性が高いのはアクアセイフが酸性である可能性だろう
なぜなら同じような現象は酢酸に漬けた場合でも発生するからだ
ではそれを調べよう
今回は簡易測定で構わないので同じテトラ社のこいつを使う
まずは水道水を測定してみた
上から「亜硝酸」「硝酸」「カルシウム」「総硬度」「Ph」「塩素」だ
当然ながら硝酸類は含まれておらずカルシウムが若干ある軟水で弱アルカリの塩素入り
どこにでもある水道水だ
この水道水とアクアセイフを1:1で混ぜて測定し直すことでアクアセイフの成分を(大まかに)把握しよう
ナニコレ?
試験紙に無い色に染まってるんだが・・・特にPhは色が抜けてる!
ようするにカルシウムの塊で超硬度を持つ強酸ということか?
若干亜硝酸塩も検出されているようだ
なるほど黒髭苔が即死するわけだ
しかしこんなもん水槽に入れて本当に大丈夫なのか心配になってきた
やはりアクアセイフ漬けにした後はしっかり水で洗い流すのが正解のようだ