これは魚がPhショックを起こして死なないようにするための作業だ
Phショックというのは魚が住んでいた環境と水槽環境の間のPhの差が大きいと魚が落ちたり弱ったりする現象と考えておけば大体間違いない
水合わせの前の温度合わせは温度差によるPhショック耐性の低下を防ぐためであろう
※自然界では温度が急激に変化することは多々あるが魚が大量死したという話は聞いたことが無いので
水合わせの方法については100人のアクアリストに聞けば10通りくらいは返ってくる程度に色々存在している
そのため一般的な水合わせの方法を書こう
@袋のまま30分ほど水槽に入れて温度を合わせる
A袋の水の1/3を捨てて同量の水槽水を入れて10分放置
B上記Aの作業を30分以上(つまり30分・40分・50分の3回)続けてから水槽に魚を入れる
これはAquaHoldが機材でお世話になっているcharm店の推奨方式だ
そこでまずは上述の一般的な水合わせ方法をカガクテキに分析してみよう
まずは温度だがこれは一方的に袋の温度が変化すると考えてよい
たとえば20リットル水槽の温度が30度で1リットルの袋が20度という極端な状況を考えてみよう
水槽の水と袋の水が均衡になるときの温度は(20×30+1×20)/(20+1)で求まる
これを計算すると約29.5度という数値が求まる
こんな極端な状況でも水槽の温度は0.5度しか変化しない
一般的な状況であれば水槽に与える影響は誤差の範囲と考えて良いだろう
このような状態であれば水の温度変化はビニール袋の持つ熱伝導率に比例して変化すると考えられる
また温度変化も直線的ではなく曲線的に変化する(最初が一番大きく変化し徐々に変化率が下がる)はずだが計算が面倒なので省略
とにかく30分もあれば温度は均衡化すると考えていいのだろう
次に水の状況だ
元もとの水が水合わせによってどう変化するかを数値で示そう
・(温度合わせ30分後)→66.7%(1/3の水換え後2/3残る)
・(温度合わせ40分後)→44.4%(2/3の2/3残るので4/9)
・(温度合わせ50分後)→29.6%(4/9の2/3残るので8/27)
・(温度合わせ60分後)→0%
初めに33.3%変化した後は22.3%→14.8%と緩やかに変化する仕組みになっている
最初のショック後10分のインターバルを取るとはいえ魚にとってはストレスが残るだろうから徐々に変化の量を減らしていると考えれば割と合理的な手段であろう
よって(水質に敏感な一部の魚やエビを除けば)そこそこ安全な手法だ
しかし問題はある
初めの30分はともかくその後は10分おきに魚の様子を見なければならず他の作業ができないのだ
そのため初めにちょっとだけ時間を使って後は放置しておけばOKみたいな水合わせの方法はないだろうか
かといって点滴法(水を1滴ずつ落として数日がかりで水合わせする方法)では時間がかかりすぎる
そこで点滴法と通常の水合わせのいいとこ取りした「AquaHold式水合わせ」を紹介しよう
タグ:水合わせ